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Archer Dialogue(4)
12-01[Wed] Movies Day 『恋愛の映画だったね』 「観る前から分かっていたけどね」 『亜狼くんは、この映画のような恋愛を、してくれたんだね』 「でもだけど、由未はもうひとりでも大丈夫なんだ」 『わたしは―――亜狼くんを縛り付けたくないだけだよ』 「それは他の誰かと付き合って欲しいってこと?」 『うん』 『だってわたしは、初めから亜狼くんのものだから』 『亜狼くんと亜狼くんの恋人にご飯を作ってあげるのが、わたしの幸せ』 「……よく分からないけど、とりあえず映画館を出てから話そうぜ? な?」 人前の対話は小声。 12-02[Thu] Nuclear Reactor Day 『亜狼くん。初恋の人って、誰?』 「月日由未だよ」 『わたしは天城亜狼くんだった』 「え、マジで?」 『だからわたしたちには、初めから恋愛なんて必要なかったんだよ』 「そうだったのか……」 『でもだけど、わたしの成績が悪かったから―――運動神経が悪かったから』 「…………」 『狐に威を借りられる虎を、演じてくれたんだよね』 「それは動機のほんの一部に過ぎない」 『それでもわたしは、嬉しかった』 『おかげで成績も人並みに』 「いや、それはどうだろう!」 馬の耳に三年。 12-03[Fri] Magic Trick Day 「由未はオレと別れたいのか?」 『別れたらもう生きていけないよ』 「それなら浮気をして欲しいのか?」 『幸せになって欲しいの』 「よく分からないよ」 『恋愛って、そんな狭いものじゃないと思うんだ』 「…………」 『家族が増えるのは、幸せなことだと思うんだ』 『だからわたしは、亜狼くんの犬でいいよ?』 「恋人から一転して奴隷に!?」 パブロフの負け犬。 12-04[Sat] St. Barbara Day 「分かったよ。そういうことなら、好きにする」 『うん。自由になった亜狼くんの、来年が楽しみだよ』 「鬼も笑うような八面六臂を見せてやるよ!」 『はちめんろっぴ?』 「そしてありがとうな、由未」 『なにが?』 「オレの独占欲に気付いて、満たしてくれたんだな」 「それもおよそ泥沼に沈まない、前向きな方法で」 「お手!」 『しないよ』 「しないの!?」 隷属のラストサディスト。 12-06[Mon] Older Sister's Day 「そして形から入った偽物の恋人関係を終わりにしたふたり」 『その幸せな結末の前に立ちはだかる最強の敵!』 「それは期末テストのことか?」 『束の間の休息も与えられないと言うの……!?』 「別れ話より動揺している由未がここに! ショックだ!」 『亜狼くん……』 『ひとつになろう?』 「こんなところでそんな台詞を無駄使いするなっ!」 月城弓矢。 12-07[Tue] International Civil Aviation Day 『やっと終わったね』 「ああ。今年最後のテストだったな」 『そして今年最後のイベントだったね』 「そっか。残すは終業式だけか」 『そう思うとカンニングも許されるよね』 「いや、許されねえよ!」 『冗談だよ』 『冗談だよ』 「なんで二回言った!?」 ドン・マイケル。 12-08[Wed] St.Maria's Immaculate Conception Day 「最終結果発表!」 『五教科合計!』 「四百九十八点!」 『百七十六点!』 「四教科合計!」 『二百点!』 「二百点!」 「漢数字って読みにくいよな」 『最後にお茶を濁した!』 彼氏彼女の事情。 12-09[Thu] Disabled Persons Day 『亜狼くん、クレープ食べる?』 「ん。家政部の成果か。イタダキマス!」 『ジャンケンでわたしが勝ったら、いいよ』 「わたしに、じゃないのか」 『だって負けて悔しい上にプレゼントだなんて、いじめだよ』 「由未が言うと説得力あるなあ」 「でも勝手に頂くのだった!」 『あ、それ珈琲味』 「ぐはーっ! 水! 水!」 『っふふ、あははははっ』 エーデルフェルト。 12-10[Fri] Nobel Prize Ceremony 「クラスメイトの女子に、洗濯するときは親父の下着を箸でつまむ奴が居るんだ」 『変わった愛情表現だね』 「……いや、やむを得ずだから。好きでやるんじゃないから」 『じゃ、その箸でご飯を食べたりとか』 「しねえよ!」 誰にも愛されない灰かぶり姫の話。 12-13[Mon] Twins Day 『冬は寒いね』 「炎を発現すればいい」 『どうやって?』 「信じるんだ。指をならせば炎が出ると」 『……難しいよ』 「じゃあ思い込む為に紋章入りの手袋をやろう」 『やった、暖かい』 「手袋の暖かさだけで満足するな!」 フレイムアルケミスト。 12-14[Tue] South Pole Day 『天城くん、下駄なんて履いてどうしたの?』 「だって学校にあるのは下駄箱だろう?」 『……冬はやめようよ。靴下も履けないんだよ?』 「今日思いついたんだから仕方ないだろう?」 後悔役に立たず。 12-15[Wed] Sightseeing Bus Day 「シャーシンくれ」 『はい』 「シャーシンくれ」 『はい』 「シャーシンくれ」 『……天城くんの分、買って来ようか?』 「いやいい。持ってる」 『えー?』 パンがなければ奪い取れ。 12-16[Thu] Last Pray to Buddha 「カバンを忘れてしまった」 『あ、本当。引き返す?』 「面倒だからいい」 『でも、教科書ないと困ると思うよ?』 「あぁ、それなら心配ない。ロッカーに置きっぱなしだ」 『さすがだね。あ、筆記用具貸してあげるよ』 「いや、胸ポケットに各種ペンと消しゴム、定規を携帯している」 『……天城くんのカバンにはなにが入っているの?』 「取り立てては」 千の凶器。 12-17[Fri] Aircraft Day 「膝枕って、男子が女子に膝を貸した方がいいと思うんだ」 『あれ、先月はわたしの膝を枕にしなかったっけ』 「ああ、だからこんどは由未の番。遠慮なくオレを枕にしろ!」 『わーい』 『この位置……隙だらけな気がする……』 「嗜虐心をくすぐる発言だね!」 WAKIWAKIタダシさん。 12-18[Sat] Join the United Nations Day 「こんなところに櫛が!」 『あ、それわたしの』 「ならば由未の髪を梳かしてやろう!」 『嬉しいけど、ハイテンションだね』 「一度この長い髪を弄り倒してみたかったんだ」 『そういうことなら』 「きっとこの髪に櫛を通すのは、男ではオレが初めてなのだろう」 『そんなことないよ』 『おじいちゃんにやってもらったことが』 「いまオレの中で独占欲というものが芽生えては消えたよ」 友達の居ない友達。 12-20[Mon] Foghorn Memorial Day 「由未は本っ当に小さいなあ」 『……天城くん、本当はわたしに小さいままで居て欲しい?』 「うん!」 『白馬の王子様は壊れていくばかりだよ』 ロリータ・コンプリーテッド。 12-21[Tue] Long Distance Love Day 『亜狼くんは本当に大きいね』 「由未も大きくなりたいのか?」 『中華鍋が振れないからね』 「随分と具体的な理由だな」 『でも、いまはもういいの』 『わたしには、狼さんが居るからね』 「犬になりたい発言はどこへ行ったんだ……!」 寅年の狼。 12-22[Wed] Labor Union Law Memorial Day 『子供の頃の勘違いシリーズ、ラスト』 「いまでも子供じゃないか―――!」 『な、なんで最後に言うの?』 『破れ鍋に綴じ蓋のこと、割れ鍋に閉じ蓋だと思ってたよ』 「閉じ蓋もなにも、もとより蓋は閉じる為にあるというのに」 『昔はそう言ったのかな、と思って。繕い直した蓋のことだったんだね』 「欠けたもの同士お似合いだって皮肉だな」 「つーか割れ鍋に閉じ蓋って蓋の負担が大きいだろう」 『うん。バランス取れてないよね』 「まるでオレと由未みたいだな」 『わたしと亜狼くんみたいだね』 共依存という正常。 12-24[Fri] Christmas Eve 「それにしても、由未は変わった奴だよな」 『天城くんにそう言われると安心するよ』 「暖かい母親のような、世話焼きの姉のような」 『……天城くん?』 「そして、かわいい妹みたいだ」 『みたいって……兄妹だよ? わたしたち』 「え……?」 「兄……妹……?」 神の定めた許婚。 (log1-8.html/2003-12-24) /プロローグ-Oracle Wedding-へ |
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