梅
ログオラクルウェディング>インスタント・ダイアログ(3)
Instant Dialogue(3)
06-01[Tue] Electric Wave Day
『あるみかんの上にあるみかんって、どっち?』
「選択肢は?」
『アルミ缶の上にある蜜柑? ある蜜柑の上にある蜜柑?』
「前者だよ」
『それとも、ある蜜柑の上にアルミ缶?』
「何故わざわざ難しい方を選ぶ!」
ループ&ループ。
06-02[Wed] Betrayal Day
「しゃっくりが止まらない!」
『大変だね』
「オレはどうすればいいんだ!」
『止めなければいいんだよ』
「なるほど納得!」
『これで夜も眠れるね』
「って納得できるかー!」
『きゃー』
議題氷結。
06-03[Thu] Weston Festival
『子供の頃の勘違いシリーズさん』
「敬称?」
『気球に乗って大地から離れていれば、丸一日で地球を一周できると思ってたよ』
「飛行機より遙かに速いな」
『大地だけが回っていると思ってて、だから雲や星が流れるのかなって』
「それはそれなら、その場でジャンプしただけで移動できるじゃないか」
『楽しい世界だね』
「うん。由未の勘違いは面白いよ」
定員の倍を乗せても沈まない船は、陽気で愉快。
06-04[Fri] International Day of Innocent Children Victims of Aggression
『わたしたちって、周りの人からはどういう関係に見られているのかな』
「ひどく歳の離れた兄妹といったところだろうね」
『一歳と一ヶ月しか離れていないのに?』
「夢の年子か。お兄ちゃんと呼べ!」
『気が向いたらね』
人の目ばかり気にしてる。
06-05[Sat] Hot-Air Balloon Day
『亜狼くん、頬に傷が……』
「ああ。格好いいだろ」
『よく分かんないけど、痛そうだよ』
「傷跡が残るように治療してくれ」
『だめだよ。しみるけど、我慢してね』
「痛い! 痛いぞー!」
『痛がってみせるのは、格好いいこと?』
「恋人に格好つけてどうするよ」
『……いいこと言うね』
友達に強がってみせるのは最悪です。
06-07[Mon] Bishop's Weed
「シャーシンが短くなると書けなくなるじゃんか」
『うん。ゼロシンは使い切るんだよね、便利』
「だが高い。かと言って短いシャーシンを捨てるのももったいない」
『なんだか定期券のような話だね』
「そこでオレは考えた。シャーシンを指でつまんで書けば!」
『濃く書けないし、指が汚れるよ。それに―――』
「ぺき」
『すぐに折れるよ?』
ラストテクノロジー。
06-08[Tue] Viking's Day
「最近とみに誘拐事件が多いよな」
『うん。完全犯罪も合わせればすごく多いんじゃないかな』
「知らないオジさんに道を聞かれても、ついて行っちゃダメだぞ」
『……どうして?』
「誘拐目的かも知れないだろ」
『でも、本当に困っている人かも知れないよ』
「それは……そうだな」

「けど、そいつが誘拐犯だったらどうするんだ?」
『とりあえず道を教えるよ』
世知辛い世の中に、村娘は居なくなる。
06-09[Wed] Rock's Day
「由未って胸小さいな!」
『中学一年生になにを期待しているの?』
「肩とか凝らないな!」
『凝ってるよ』
「服とか選べるな!」
『生涯キッズサイズに頼ると思うけど』
「匍匐前進できるな!」
『したことないよ』

「そんな由未が大好きだー!」
『触らないで!』
オーマイリトルガール。
06-10[Thu] Time Memorial Day
『亜狼くん、映画に誘っていいかな』
「いいぞ。ドーンと来ーい!」
『うん。明日なんだけど、平気?』
「平気。楽しみにしてる」
『え? 亜狼くん、わたしと行って楽しいの?』
「あぁ。由未はヒジ置き使わないから、両ヒジついて堪能出来るんだ」
『……そっか。役に立ててるんだ、わたし』
「いやツッコミの時間だったぞ、いまのは」
喜んでくれるならなんでもいいよ。
06-11[Fri] St.Barnabas' Festival
「最後に鬼の奴がボールを片付けるルールな」
『わたし片付けるよ』
「だったら鬼にならなければならない」
『それは嫌。痛いのは、嫌』
「仕方ないな。オレが片付けてやるよ」
『ルールはどこに行ったの?』
「実はオレ、鬼ヶ島の民の末裔だったんだ!」
『本当か嘘か微妙な嘘を……』
「本当か嘘か微妙なのかよ! 真っ赤な嘘だよ!」
泣いた赤鬼の青鬼が大嫌い。
06-12[Sat] Lovers Day
「今日は楽しい体育祭だ!」
『そうだね……』
「……なんだ由未、テンション低いな」
『そ、そんなことないよ?』
「まさか校庭に椅子を運ぶのに疲れたのか?」
『……エスパー?』
「マジかー?」
いまはもう動かない。
06-15[Tue] Midsummer Greeting Day
「梅雨は面倒だな。身体が重くなる」
『わたしも。腰が重いよ』
「……おばあちゃん?」
『おばあちゃんって言わないでー』
「そういえばどうして梅雨って言うんだろうな。梅の花はもう散っただろうに」
『梅の実が成る季節だからだよ』
「さすがおばあちゃんの知恵袋」
『えへへー』

「こんどは怒らない」
『だって、褒められたから』
褒められて伸びるなんて、あなたは犬ですか?
06-16[Wed] Japanese Sweet Day
「宝くじを当てたい年の瀬」
『あれ、亜狼くん宝くじ買ったんだ』
「買ってないぞ」
『それって当てるもなにも……』
「皮算用だ。そんな現実的な由未は、一等を当てたらどうするんだ?」
『銀行に行って三億円に代えてもらうよ』
「その先を聞いてるんだけど?」
貯金も含めて、どうして使い道ばかり考えるんだろう。
06-17[Thu] International Combat Desertification and Drought Day
「由未は特技の欄になんて書いたんだ?」
『シャーシンをペン先から入れること』
「普通に入れればいいじゃないか」
『しっぽの消しゴムが減ってて、抜けないの』
「ああ。そんなに使うなよ、シャーペンの消しゴム」
『使ったのは亜狼くんなのにっ』

『それと、その消しゴムを抜き取るのも得意だよ』
「いやどっちかでよくないか?」
スクールデイズ・ダイアログ。
06-18[Fri] Father's Day
『亜狼くんは特技の欄になんて書いたの?』
「器用貧乏」
『それは特技?』
「十の二流で一流を迎え討とう」
『誰と戦っているの?』
「それは言えない……」
『どうして眼を背けるの?』
マナルナ。
06-19[Sat] Reading Day
「ドリンクバー、取ってくるよ」
『ありがとう』
「なにがいい?」
『水』
「ウォーター!?」

「ドリンクバーいらないじゃん」
『いらないね』
世界で一番美味しい飲み物。
06-21[Mon] Summer Solstice
「迷子の迷子の仔猫ちゃんになってしまった」
『犬のお巡りさんも居ないし、困ったね』
「仕方ない。秘奥義発動だ」
『取り出したるはボストンバッグ?』
「ああ。さして大きくもないが、由未なら楽に収まるだろう」
『……入って、どうするの?』
「黒猫に宅配を依頼する!」
『い、一歩前へ!』
「逃がすかっ!」

「オレのことは心配するな! 自力で帰ってみせる!」
『従業員と受取人を心配しようよー!』
収納フェチ。
06-22[Tue] Bowling Day
「一緒にテスト勉強しようぜ!」
『学年が違うのに?』
「間を取って三年生の範囲を勉強すればいい」
『全然間を取ってないよっ』
足して割らない。

06-23[Wed] Memorial Service Day
「うわ、雨か」
『困ったね。傘、ひとつしかないよ』
「さらばだ!」
『え。あ、わたしの傘……』

「ほら、これでふたつの傘」
『……家まで取ってきてくれたの?』
相合い傘は濡れるから嫌。
06-24[Thu] UFO Memorial Day
『今日は期末テストだね』
「嬉しそうだな由未。そんなに自信があるんだ?」
『ないよ。たぶん、五教科で百点取れないと思う』
「それもそれですごい自信だな」
『でもだけど、テスト中は手を挙げる必要がないからね』
「いやもう由未が楽しそうなら理由はどうでもいいかあ!」
ゴーイングマイウェディングロード。
06-25[Fri] Housing Day
『そして今日は四教科だね』
「嬉しそうだな由未。そんなに自信があるんだ?」
『うん』
「えっ!」
『と言っても、家庭科だけだけどね』
「それはオレにも劣らないくらい?」
『自信はあるよ』

「テスト勉強だあ!」
『昨日より目を皿にしている亜狼くんがここに!』
勝てず嫌い。
06-28[Mon] Rain Day
『結果発表!』
「天城亜狼!」
『五教科五百点!』
「月日由未!」
『五教科百点!』
「そして家庭科は!?」
『わたしは百点』
「二十点! 負けた!」

「悔しいので今日からオレが由未のお弁当を作ってやろう」
『二十点の人に作って欲しくないよ』
コミカルロジカルリリックス。
06-29[Tue] St.Peter's Day
『亜狼くん』
「…………」
『亜狼くん?』
「…………」
『……お兄ちゃん』
「なんだい、妹!」
『マンホール空いてるよ』

「落ちたよ! 這い上がったよ! もっと早く言ってくれよ!」
『ごめんなさい』
シスター・ダイアログ。
06-30[Wed] Half Time Day
『お兄ちゃん』
「なんだい、妹」
『お兄ちゃんと結婚したいな』
「気が合うね。オレもキミと結婚したい!」
『同じ時間に生活して、同じ映画を観て』
「でもそれは、いまとなにも変わらないね」
『…………』
「っていうか、兄妹は結婚できないか!」
『……お兄ちゃんの』

『お兄ちゃんの子供が欲しいよう……』
望まれない子供ばかりという話です。
(log1-3.html/2003-06-30)


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