09-01[Wed] Prevention of Disasters Day
『別れるのがつらいから、だからもう恋なんてしたくないよ……！』
「それなら由未だけ冬休みも登校すればいいよ」
『前言を撤回するよ！』
「それは冗談として、しかし二学期を甘く見ないで欲しい」
『それはどうして？』
「合唱コンクールから文化祭から、行事が目白押しだ」
「学校のことが好きなんだ。オレに付き合ってくれ！」
『……任されたよ』
学校が大好きな男の子の話。
09-02[Thu] Public Lottery Day
「耳ィかっぽじってよォく聞け！」
『うん』
「耳を塞ぐな！」
『言われた通りにしてるだけなのにっ』
隷属脊椎反射。
09-03[Fri] Home Run Memorial Day
『どうして顔を隠すかなあ、亜狼くん』
「カメラは嫌いなんだ」
『変身が解けるから？』
「オレはデパートの戦隊ヒーローかっ！」
ヒーローやカイジンをカメラでとるとへんしんがとけてしまうからやめてね。
09-04[Sat] Comb Day
「避難訓練！」
『おはしってなんだっけ？』
「押さない走らない喋らない、だな」
『きはじってなんだっけ？』
「距離と速さと時間だな。避難訓練とは一切関係ないが！」
『避難地までの距離を速度で割ればいいよ』
「時間を測る間に避難しろよ！」
虐待マニュアル。
09-06[Mon] Younger Sister's Day
「片手で玉子割れるか、由未」
『できるけど。でも普段は両手で割るよ』
「もったいないな。どうしてだ？」
『片手で割ったって意味ないから』
「もう片方の手で何かすればいいじゃないか」
『そんな慌てて料理をしないよ』
「そうか。それじゃ確かに意味ないな」
身体を均等に使いましょう。
09-07[Tue] CM Song Day
『子供の頃の勘違いシリーズ、ごー！』
「勘違いはゴーしない方がいいと思うぞ」
『一日千秋のこと、一日先週だと思ってた』
「所帯じみた熟語だな。どういう意味だ？」
『一日前の記憶が、先週のことのように朧なの』
「ロマンティックな熟語が一瞬にしてただの健忘症に！」
エンドレスエイト。
09-08[Wed] St.Maria's Birthday
「指を切ってしまった」
『大変、傷口を洗わないと』
「いや、由未が舐めてくれたら一発で治ると思う」
『……いいから、傷口見せて』
「ないものは見せられないな！」
『やっぱり嘘だった……』
「嘘を吐いたら、本当にするしかないんだ！」
『やめて。自傷は最悪の始まりだよ』
「それならオレは、どうすれば……！」
『はあ……指、貸して』
虐待されては自傷を許さずに、家なき子は反抗期を許さない。
09-09[Thu] Last Festival
「な―――このご飯はブレンド米だ！」
『あ、本当。定食屋さんも不景気なんだね』
「おのれ！ 米は日本人における力の源だというのに！」
『人によると思うよ』
「お天道様が許してもこのオレが許さん！」
『お天道様は食べ残しを許さないと思うよ？』
「バクバクムシャー！」
食べ終わってから文句を言う。
09-10[Fri] Ad-Balloon Day
『コンコン』
「風邪か？」
『うん。そうみたい』
「由未が風邪を引くとオレも引くんだよな、何故か」
『あ、ごめんね。伝染かな』
「仕方ないけどな。ところでそのサンドウィッチ、もう食べないのか？」
『うん、もうお腹いっぱい。亜狼くん食べてくれる？』
「任せろ」
「ってコレかっ！」
『あ、食べ物から伝染していたんだね』
伝染るなんて覚悟の上。
09-13[Mon] World Rule Day
「最近変質者が出るらしいぞ」
『そうなんだ。時季外れだね』
「人災だからな」
『……ところで、そのサングラスとマスクとコートはどうしたの？』
「ああ、オレは秋の植物に対して花粉症なんだ」
『そうなんだ……時季外れだね』
「なんだその疑惑の眼差しは！ 嬲るぞ！」
『そういう発言を道端でしないでね』
犯人はこの中に居ない。
09-14[Tue] September Valentine's Day
「セプテンバー・バレンタイン！」
『あまりメジャーじゃない行事だね』
「というわけで、チョコをくれ！」
『こ、今年二回目？』
「男子は得だなあ。ホワイトデーは一回なのに、バレンタインは二回あるなんて」
『残念だけど、今日は男性から女性に下着を送る日だったと思うよ？』
「そうだったのか！」
「仕方ない、オレの下着をやろう」
『い、要らない……』
カチャカチャ。
09-16[Thu] International Day for the Preservation of the Ozone Layer
「オレの辞書に不可能という文字はない！」
『珈琲淹れたけど、飲む？』
「無理」
『無理という文字はあるんだね』
オルタナティブワード。
09-17[Fri] Monorail Memorial Day
「幼馴染みの異性はどうして勝ち気で嫉妬焼きなのだろう」
『そうなの？ 初めて聞いたよ』
「恐らく子供の頃はそういう接し方が普通で、いまさら変えられなくなったのだと思うが」
『そうなんだ。議題氷解だね』
『ところで亜狼くん、幼馴染み居たんだね』
「いや居ないぞ？」
『さっきの疑問はどこから！』
恋のない愛。
09-18[Sat] Frost Flower
「カラオケに行こうぜ！」
『うん。でも、わたしは唄わないよ』
「ひとりで唄い続けろと？」
『童謡しか唄えないからね』
「いいじゃん童謡。オレも今日は童謡しか唄わない！」
「ぼえー！」
『童謡でぼえーってどうやって？』
バーバラ・アレン。
09-20[Mon] Air Day
「耳ィかっぽじってよォく聞け！」
『うん』
「鼻ァかっぽじってよォく嗅げ！」
『なにを？』
「歯ァ磨いてキスをしろ！」
『…………』
『歯ブラシがないから、できない』
「あったらしてたのか！ しまった！」
後悔？
09-21[Tue] Alzheimer's Day
「男子の盛りは十九歳」
『女子の厄年も十九歳だね』
「彼氏彼女は同い年が一番多いらしいぞ」
『あれ、同い年が一番別れやすいんじゃなかったっけ』
「―――ということは、責任を取らないということか」
『災厄って男子のことだったんだね』
あの紙飛行機、曇り空割って。
09-22[Wed] Orphanage Day
「映画を観に行こうぜ！」
『あ、ごめんね。今日は用事があるんだ』
「用事？」
『二学期からね、家政部に入ったの』
「へえ。それは初耳だ」
『明日で良かったら、付き合うよ』
「ああ。唐揚げとポテトね」
『映画館に食べ物を持ち込むのはよくないよ』
フェンシング・フルーレ。
09-24[Fri] Cleaning Day
「今日は楽しい合唱コンクール！」
『でも亜狼くん、そういう集団プレイ苦手そうだけど』
「チームプレイな。安心して欲しい、オレは指揮者だ」
『流石亜狼くんだね』
「由未だって、歌、滅茶苦茶上手いじゃないか」
『わたしの歌は―――お母さんの歌だからね』
『今日はテストの三倍くらい頑張るよ』
「オレとしてはテストも頑張って欲しいところだが！」
ローレライ。
09-27[Mon] World Sightseeing Day
「結局ふたりとも優勝できなかったな」
『……それは合唱コンクールの話？』
「ああ。回想は三日後というのが基本だろう？」
『よく分からないけど、でも一学年九クラスもあるんだから、無理もないよ』
「そうだな。この学校はそんなに狭くないということか」
「それでもオレは、この学校で一番になってやる！」
『三倍くらい、頑張らないとね』
レッド・バロン。
09-28[Tue] Personal Computer Day
『小テストがあったの』
「へえ」
『先生は廊下側から窓側に向かって用紙を配るの』
「それはどっちでもいいけどさ」
『したら、前の席から後ろの席へ用紙を回すじゃない？』
「そうだね」
『時間が来たら、後ろの席の人が前に向かって用紙を回収する』
「言いたいことは正しく伝わったよ」
『不公平だよね』
「だったら前の席に座ればいいじゃないか」
『不公平だよね！』
結果、零点。
09-29[Wed] Archangel Gabriel's Day
「恋の告白をされてしまった」
『……付き合うの？』
「いや、遠慮する。面倒だ」
『そっか。可哀相だね、その男子』
「待て。なんで男なんだよ」
『え……だって、亜狼くんに恋する女子なんて居ない』
「はっは、言い切ったな」
怒るととても怖いのだとか。
09-30[Thu] Walnut Day
「月日由未！ 好きだ！ 結婚を前提にお付き合いしたい！」
『？ 結婚はできないよ、わたしたち』
「いや、伝言だ。男友達が伝えてくれとさ」
『……かなり端折ったでしょう、その台詞』
「意味は同じだ。さあ、返事も伝言してやるぞ」
『あ、ありがとう』
『いまの台詞は違うよ……？』
「もう伝えてしまった」
ハピネス・テレパス。
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