梅
ログオラクルウェディング>アーチャー・ダイアログ(2)
Archer Dialogue(2)
10-01[Fri] Law Day
「秋には飽きたな」
『夏が懐かしい?』
「ダジャレはやめろよ。寒くなるじゃないか」
『えー……?』
棚に上げる背丈もない。
10-02[Sat] Telescope Day
『待てー!』
「待てと言われテ舌噛んだ!」
『はい、タッチ』
「鬼か由未は!」
『うん。でもいまは亜狼くんが鬼』
アンタッチャブル。
10-04[Mon] Day of a Look For
『はい、タッチ』
「甘い。抱き締めてやる」
『え……な、なんで?』
「タッチを離した瞬間に、鬼は代わるのだろう?」
『……離していない間は、わたしが鬼なの?』
「イエス! ゲーム終了まで離さないよ!」
『制限時間なんて設けてないのにー……』
はいはい。
10-05[Tue] Timetable Day
「幽霊に会ったことがない悩み」
『普通はないと思うよ』
「そして会ってみたい悩みだ」
『それは……解決が難しいね』

「! 実は由未が幽霊だったとか!」
『え、あ、えーと』
「動揺する幽霊」
『うん。わたし、幽霊だよ』
「肯定する幽霊」
それは例えば、登場人物がふたりだけという違和感。
10-06[Wed] Postal Savings for International Voluntary Aid
『亜狼くん、見えない』
「む、オレはここだ! ここに居るぞ!」
『亜狼くんは見えなくていいの。黒板、見えない』
「オ、オレだって由未なんか見えなくてもいいんだからなー!」
トランスルーセント。
10-07[Thu] Mystery Day
「由未、なにをしているんだ?」
『黒板隠し』
「隠せていないぞ、オーマイリトルガール」
『でもほら、下の方に書いてある文字とか』
「確かに見えないな。やれやれ、黒板の上下を入れ換えるか」
『そんなあっさり解決しないで!』
新世紀スライド式黒板。
10-08[Fri] Tree Day
『亜狼くんは珈琲が嫌いなんだよね』
「ああ」
『亜狼くん、いま無糖の珈琲を飲んでいるよね』
「ああ」
『美味しい?』
「うんとっても!」
『……珈琲、嫌いなんだよね?』
「それとこれとは話が別だっ!」
『明らかに同じだよっ』
吐き気を催したのち発熱して、結果眠たくなる。
10-12[Tue] Columbus Day
「今日は楽しいプラネタリウム教室!」
『毎回行事名を叫んでいるね』
「亜狼くんは優しいからさ」
『……もうその台詞は使わないことにするよ』
「ごめん! 謝る! 思い直してくれ!」
『分かった』
「簡単!」

『―――綺麗だね』
「毎回行事を楽しんでいるな、由未は」
『亜狼くんが隣に居るからね』
リトルプラネット。
10-13[Wed] Moving Day
「鬼ごっこする人この指とーまれ」
『……足の指?』

「鬼ごっこする人この指とーまれ」
『わ、わたしの指?』
夢の後先。
10-14[Thu] Railroad Day
「一足す一は田んぼの田だが」
『確定事項?』
「田畑の田の方が格好良くないか?」
『大差ないと思うよ』
「あるいは田園調布の田」
『……小学生は田園調布を知らないんじゃないかな』
「田園調布の小学生なら知っているさ」
山手のお嬢様。
10-15[Fri] Doll Day
『子供の頃の勘違いシリーズロック』
「勘違いの鍵は解いた方がいいと思うぞ」
『イタ飯って、板飯っていう和食なのかと思ってたよ』
「……答えを得たという事は、イタリア料理を食べたということか?」
『え? うん。子供の頃ね』
「裏切り者め!」
『ご、ごめんなさい……?』

『手料理でよかったら、作るけど』
「作れるのか!」
再現と創作。
10-16[Sat] World Food Day
「いまこの瞬間世界中の時が凍り付いたら、誰が一番面白い顔をしているだろうか」
『誰が判断するかによるんじゃないかな』
「よし、ならば審判は由未に任せた」
『任されたよ』
「時よ止まれ! クロス・クロニクル!」

「止まらない! 何故!」
『あ。いまの亜狼くんの顔、面白い』
確実に発動する魔法は存在しない。
10-18[Mon] Hulahoop Day
『ふたりで水族館なんて、胸が膨らむよ』
「小さな胸でなにを言っているんだろうね」
『中学生になにを言ってるの?』
「きっと楽しいことは少なかったんだろうね」
『全然関係ないよ?』

『わたしの身体とその人生は、全然関係ないんだよ?』
水槽の中で人魚姫。
10-19[Tue] Black Monday
「筆記用具を忘れた」
『まるごと貸してあげるよ』
「ありがとう。されどシャーペンひとつで十分だ」

「箸を忘れた」
『貸してあげる。先に食べていいよ』
「シャーペンで食べるから気にするな」
『それわたしのシャーペンっ』
文房具戦士。
10-20[Wed] Recicling Day
「一緒にテスト勉強しようぜ!」
『残念。わたしは偽物だから』
「偽物?」
『そう。それも本物より本物らしい偽物』
「じゃあ偽物でいいから勉強しようぜ!」
『任されたよっ』
レプリカドール。
10-21[Thu] Light Day
『どうして亜狼くんはそんなに勉強するの?』
「惰性だよ。昔は家に帰りたくなくてさ、学校に居残っていたんだ」
『小学生の頃のこと?』
「うん。居残る理由は補習くらいしかなかったからね」
『学校に居る時間が誰よりも長かったから、だから亜狼くんは校内最強なんだね』
「家の中では弱かったけどね」
『それはいまでも?』
「それはいまでも」
まるで正反対のふたり。
10-22[Fri] Stepmother Day
「今日は中間テストだぜ!」
『楽しそうだね』
「由未は楽しくないのか?」
『うん』
「よし。それなら褒美を考えよう!」
『どのような?』
「由未が合計二百点を超えたら―――」

「百円!」
『お金!?』
ストロベリィ・ダイアログ。
10-25[Mon] Request Day
『結果発表!』
「国語!」
『十六点!』
「数学!」
『十四点!』
「英語!」
『四十二点!』
「理科!」
『二十八点!』
「社会!」
『三十六点!』

『百三十六点だったよ』
「身長と同じだな」
『もっと伸びてるよ!』
あれから半年。
10-26[Tue] Atomic Energy Day
「胴上げがしたい」
『……はい、どうぞ』
「お、やらせてくれるのか。いい奴だな由未は」
『落とさないでね』
「検討するよ。トース!」

『ところで、胴上げって一対一でするものなの?』
「さあ……まるで赤子をあやしている気分だ」
恐怖に慣れた女の子。
10-27[Wed] Book Week
「明日は創立記念日だ」
『うん。平日の、休日だね』
「そこを活かしてどこか遠くに行かないか?」
『それは電車が空いているから?』
「そしてあらゆる娯楽施設が空いているから」
『それなら―――家』
「家?」
『亜狼くんの家に行きたい』
道行きの詩。
10-29[Fri] Home Video Day
「背中合わせで座っていると―――」
『うん』
「寝技乱取り、したくなるよな」
『…………』
「まさか割烹着相手にしないけどさ」
『う、うん』
欲望は口に出した時点で欲望じゃなくなる。
10-30[Sat] One's First Love Day
「待ち合わせ場所はここで合ってるんだよな」
『うん。合ってると思うよ』
「となると遅刻か。けしからん!」
『仕方ないよ。飽きるまでは、待ってみよう?』
「それなら由未はあっちを見ていてくれ。オレも同じ方を見ているから」
『それじゃ意味ないよ。ほら、背中合わせ』
「全然背中同士じゃないけどな」
『亜狼くんの身体が大きすぎるの』
「お互いさまだと思うけどな」

『いまの台詞だとまるでわたしの背が高いみたいに!』
「聞こえない聞こえない」
急急如律令。
(log1-6.html/2003-10-30)


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