梅
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Epilogue-Cross Chronicle-
  EX

 昔々あるところに男の子と女の子が居て、ふたりは物語の始まりから恋人同士でした。以下同文である限り『フラグの成立』『好感度の上昇』といった恋の駆け引きは使用不可であり、それはたった一行の言葉しか交わせないふたりにとって致命的であると言えました。とはいえ所詮は書きながら考えた適当なキャラクター、ここらでひとつ終わりにすれば済む話。かくして月日由未は天城亜狼の妄想であったという、荒唐無稽なエピローグが完成しました。著しく能力値の低下した天城亜狼を主人公に、そして黒猫を肩に乗せた女の子を新ヒロインに迎えるという、いわゆる新展開を予定していたのです。
 考えてもみてくださいな。これが毎月連載の安定性のある4コマ漫画ならいざ知らず、無名の弱小サイトのそれも文字ネタである限り、冗長は敵でしょう? キャラクターを入れ替えて、あるいはキャラクターという概念を消失させてでも刹那の人気を獲得しようと躍起になるというものです。……だっていうのに黒猫ルートに突入せず、インスタント・ダイアログとなにひとつ変わらないアーチャー・ダイアログへと展開した理由は、それは偏に愛着と言えました。生まれて初めて書いた強くて頭のいい底抜けに優しい男の子に惚れて、そして弱くて成績の悪い底抜けに優しい女の子に惚れてしまいました。なによりもいつだってラブラブで、嫉妬も八つ当たりも有り得ないふたりを、私は愛してしまったのです。
 さて、そうなると犠牲になる子が現れますね。天城先輩という二人称、黒猫という記号。ラスボスの名を冠された割には満身創痍の主人公にも勝てない、これからも汚れと嫌われ者の役割が続くであろう最下位のピラミッド。金色の髪と金色の瞳―――三番目のモノローグ、秘密有希! その名は月日由未のアナグラム! 彼女の代替品としと設定された『私』は彼女の持つものを殆ど持たず、彼女の持たないものをたくさん持っているという『新ネタ用』のキャラクターとして生み出されました。それはそのまま旧式の―――いえ、結局は続投したのだから新式などどこにも居ないと言えましょう―――天城亜狼と通じるものがあり、かくして彼は私に追いつこうとして昔の力を取り戻すという、どこまでも上向きな『成長』の話を予定しておりました。そしてクリスマスを越えたらまた新しいルートに突入するという諸行無常。それが本来の形であり、背中合わせの兄妹が体現した永遠化こそが例外と言えました。
 私を喰い潰して手に入れた新設定は、当たり前のように後付けばかりでした。苗字の違うふたりを兄妹に仕立てる為に、その為だけに父親と母親と父親は発生したのです。そうまでして続けた月日由未が、誰にも恨まれないはずはないでしょう? 父親に捨てられて母親に呪われて祖父に無視される、それは言葉の足りない世界。友達に蔑まれて先生に犯されて私に邪魔されたのは、表向きには目立つ弱者だったからで、その実際は嫉妬といえました。
 彼女の持たない嫉妬という感情を、私はとりわけ強く持っているのです。彼女の持っている母性と料理は持っていないけれど、復讐ならこのサイトの殆どのキャラクターが持っている性質。そして天城亜狼に対する好意の深さは負けません。理由はまだ未設定で、どころかこれからのことなどなにひとつ考えていませんが、それでも私は天城亜狼のことが大好きで。そして月日由未が魚であり、私が猫である限り、負ける道理はありません!
 続く話は理想的な三角関係の物語。舞台の制約は解除され、そして初めてのキャラクターチェンジ。二十日鼠を喰い散らかして、お話はまだまだ終わらないのですっ!
(log1-h.html/2004-04-01)


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