梅
ログオラクルウェディング>シスター・ダイアログ(4)
Sister Dialogue(4)
11-21[Sun] Internet Memorial Day
「そして三角関係の物語は幕を閉じた」
『しかし依然として対話は続いている』
「けれどわたしは、天城亜狼じゃない」
『……由未ちゃん』
「有希ちゃん」

「この泥棒猫―――!」

「ってわたしが言う為だけに、いままでの対話はあったんだよ」
『なっ、うなっ、それは誠ですかっ!』
キャッツ・アイ。
11-23[Tue] Labor Thanksgiving Day
「亜狼くんが居ないと心細いね」
『大丈夫です。天城先輩が居ない間、由未ちゃんのことは私が!』
「護ってくれるの?」
『愛してみせます!』
「……有希ちゃんは亜狼くんに似ているね」
『天城先輩と由未ちゃんだって、よく似ていますよ?』
「それは兄妹だからね」

「ふたりは恋人同士、なんだよね?」
『いえ、その、あの―――』
エターナル・トライアングル。
11-24[Wed] Opera Memorial Day
「有希ちゃん、お座り」
『は、はいっ』
「お手」
『これは箸ですか?』
「たくさん食べてね」
『押忍。頂きます!』
「おかわり?」
『くださいっ』

『あれ? どうして私は、幸せなのでしょう?』
「名台詞だね」
幸福論。
11-25[Thu] Office Lady Day
「有希ちゃん」
『はい』
「ありがとう」
『な、なにがですか?』
「亜狼くんと、付き合ってくれて」
『……それは本気で言っているんですか?』
「うん。わたしと亜狼くんのそれは、偽りの恋人関係だったからね」
『でも先輩は、本気で由未ちゃんのことを好きだったのに』
「それは嬉しいよ。うん、だから求められたら拒まないけれど」
『けれど?』
「亜狼くんの帰りを待つ現状が、一番好き」
『…………』
「有希ちゃんのことも、好き」
『由未ちゃん……』
「家族が増えることは、こんなにも幸せ―――」

「だから明日からは、有希ちゃんの分のお味噌汁も用意するね」
『由未ちゃぁん……』
狂乱家族日記。
11-26[Fri] PEN Day
『そろそろ亜狼くんが帰ってくる頃合いですね』
「亜狼くんのことだから、どこかで道草を食んでいると思うけど」
『大丈夫。三日も由未ちゃんのご飯を食べていないのなら、道草なんて知れた味です』
「料理上手は床上手だね」
『それとこれとは全然関係ありませぬ!』
「料理上手と床上手?」
『小学生に夜を任せないでください!』
「帰ってきたら、一緒に迎えてあげようよね」
『はい。両手に花の相乗効果を見せつけてやるのです!』

「『おかえりなさいっ!』」
幕は閉じて、舞台裏はいつだって長峰の屋敷。
11-27[Sat] Reassessment Protection Day
『そして歴史は変わらずに、クロス・クロニクルの終わり』
「依然として続いている対話は残る十四日の埋め合わせ」
『折角なので、私は天城先輩より由未ちゃんとお喋りしたいです』
「別にそんなに変わらないと思うよ?」
『とんでもない。由未ちゃんの方が書いて―――話していて、とても楽です!』
「それはきっとテンションが低いからだろうね」
『私と付き合ってくださいっ!』
「いままでのすべてを無に帰する発言だね」
宇宙の法則が乱れる。
11-28[Sun] Pacific Ocean Memorial Day
『うまい! うますぎる!』
「おかわりあるよ」
『おかわりっ』
「……有希ちゃん、あまりご飯食べさせて貰えなかったの?」
『いえ、それは私より十キロ以上軽い由未ちゃんにこそ聞きたいです!』
「わたしは食べてるよ。一日三食昼寝付き」
『昼寝はきっとしたら駄目です!』
十万石饅頭。
11-29[Mon] Good Clothes Day
『人という文字は支え合ってできているのです』
「支えているのは片方だけだよ」
『…………』
「片一方は、楽をしている」
『……確かに』
「そういう人に、わたしはなりたい」
『堕落願望!?』
人に夢と書いてアグリアス。
12-05[Sun] Bamuda Triangle Day
「有希ちゃん、わたし、できちゃった……」
『えぇ―――!?』
「喜んでくれないの?」
『それは、その……』
「頑張ったのに……」
『う―――うわぁぁぁん!』

『で、なんの話ですか?』
「鉄棒の逆上がりの話」
月日由未の成長性。
12-11[Sat] UNICEF Foundation Day
「豚もおだてれば木に登るよね」
『豚をおだてるくらいなら自分で登りますよう』
飛べない豚。
12-12[Sun] Dozen Rose Day
「面白い話をして欲しい」
『それでは友達の飼っている猫の話を』
「……全身真っ白で、尾も白いの?」
『大正解です』
「普通だね」
『それで名前はクロでした』
「えっ! なんで!?」
白レン。
12-19[Sun] First Flight Day
「痛い……」
『痛いの痛いの、私に移れ!』
「……変わったおまじないだね」
『飛んでいって誰かにぶつかったら大変です』
痛み分けの能力。
12-23[Thu] Emperor's Birthday
『子供の素朴な疑問シリーズ、ラスト!』
「いきなり最後なんだ」
『恋人という関係は、どうして存在するのでしょう?』
「…………」
『子を育む為に結婚というシステムがあるのは分かりますが、恋人関係』
「告白ひとつで身体のすべてを赦してしまう、言葉ありきの関係」
『でもだって、好きなら好きなだけ一緒に居ればいいじゃないですか』
「そうは言うけど、人は言葉でしか約束できない生き物だから」
『約束……』
「好きな人が他の誰かに告白されたとき、言葉の足りなかった関係は綻びてしまう」

「だから、色恋沙汰は早い者勝ちなの」
『……なんか由未ちゃんって、本当は天才な気がしてなりません』
言葉なくして繋がる世界。
12-25[Sat] Merry Christmas
『メリークリスマス!』
「有希ちゃん、教会はいいの?」
『ええ。私が欠けても、代わりは六人も居ますから』
「それなら、メリークリスマス」
『三人にプレゼントを用意してきました!』
「三人って、プレゼント交換ならひとつでいいのに」
『いえいえ、今年は本当にお世話になりましたので』
「おじいちゃんには……ビール?」
『ドイツから取り寄せました』
「お兄ちゃんには……なに、これ?」
『赤ずきんです!』

『そして由未ちゃんには家庭菜園キットをプレゼント!』
「あ……それは嬉しいかも」
引きこもりの趣味、パートU。
12-26[Sun] Boxing Day
『私に料理を教えてください!』
「……じゃ、目玉焼き」
『教える気はないと見た!』

『そう思ったのに、ふたりの味の差に愕然とする十分後!』
「百回くらい作ればすぐに上手になるよ」
フライパンの修行、レベルT。
12-27[Mon] St.John the Apostle Day
『私に料理を教えてください!』
「……じゃ、蒸かし芋」
『沸騰した鍋にサツマイモをシュート!』
「箸で突いて、状態の変化を感じ取ってね」
『分かりました!』
「…………」
『…………』
「シスター・ダンシング」
『え、なんですかその不思議な踊りは』
「秘密有希のレベルが下がった」
『なっ、うなっ、それは誠ですかっ!』

「五分後」

「圧力鍋だとこんなにも早く」
『花嫁修行をおざなりにされました!』
鍋の修行、レベルU。
12-28[Tue] Childmas
『大掃除をしましょう!』
「手伝ってくれるの?」
『ええ。こう見えて掃除することは得意です!』
「それならセクハラ狼と名高いクラスメイトを」
『人命の掃除ではありませぬ!』
「あるいは家を跋扈する鼠を」
『居るんですか?』
「居ないけど」

「それ以前に大掃除するほど大家族じゃないからね」
『むー。なかなか役に立てる機会がありませんなー』
琥珀と翡翠。
12-29[Wed] International Day for Biological Diversity
『由未ちゃん。好きです』
「……これが噂のサブリミナル効果」
『横文字はよく分からないのです』
「無条件に好かれるのは、心地良いよね」
『あざとい感じは捨てきれないですけどねっ』
「わたしはわたしのことを好きな人が、好きだよ」
『流石ホワイトデー生まれですね』
「それとは無関係に、鏡のような性格の人はたくさん居ると思うんだ」
『それはそれなら、誰も彼もが報われるのなら、世界はずっと平和で―――』

『ラブ&ピースですね!』
「横文字は苦手じゃなかったの?」
おしゃれ魔女。
12-30[Thu] Cinderella Eve
『明日で千九百九十九年も終わりですね』
「短いようで長かった一年間だったね」
『一番の出来事は、由未ちゃんが夏休みの宿題をやらなかったことでしょうか』
「たぶん、雛祭りの復讐劇だと思うよ」
『ラスボスが味方になるなんて、少年漫画みたいですね』
「ヒロインがふたりも居るなんて、少女漫画みたいだね」
『……ひとつだけ、素朴な疑問が残っているのです』
「なに?」
『祭りのあとに由未ちゃんがくれたブーケについて』
「うん」
『ブーケというのは、自らの結婚相手を相手に渡すという意味では、なかったはずです』
「あなたにも素敵な結婚相手ができますようにという、それは先行者のおまじないだね」
『だから本当は、由未ちゃんはいまでも天城先輩のことを―――』
「独り占めしたいと、思ってるよ」

「でも、わたしたちは兄妹だからね」
『そこでその台詞は、ずるいです』
クリスタル・ブーケ。
12-31[Fri] Eternal Millennium
『好きな花は?』
「百合かな」
『好きな宝石は?』
「真珠」
『好きな人は?』
「それは秘密」
『相思相愛だなんて嬉しいです!』

『天城先輩のことが好きだなんて、真っ赤な嘘』

『私は本当は、由未ちゃんのことが好きだったのです!』
将を射んとせばまず馬を射よ。
(log1-18.html/2004-12-31)


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