インスタントフェスティバル
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2018-08-22[Wed]
 少年は継母に愛されず、足蹴にされ、満足に食事も与えられていませんでした。
 嫌気が差した少年は、継母の娘である義理の妹の手を引いて、家を出ました。

 兄妹は真宵の森に迷い込み、大樹の洞で雨風をしのぐことにしました。
 少年は未だ幼く、より幼い妹に、満足に食事を与えることもできず。
 妹は森での暮らしに耐えられず、みるみる弱っていきました。

「ごめんね。連れ出さなきゃよかったね」
「ううん。お兄ちゃんと一緒にいられて、わたしはとっても幸せよ。
 死ぬのだって、ちっとも怖くないんだから」

 ふるえる手を繋ぎ、やせた頬に手を添え、涙をぬぐったとき。
 妹は声もなく、静かに息を引き取っていました。

 少年はもう喋らない妹の代わりに、獣のように慟哭しました。
 幾千の夜を越えて、言葉を失い、感情は擦り切れて。
 少年は狼少年となって、真宵の森で生き延びました。

  ◆

「おまえは、悪くない」
 真宵の森に訪れた預言者はそういって、
 狼少年の手を引き、孤児院へと連れていきました。

 食卓にはお母さんが生きていた頃以来の、ふわふわのパンに、温かいスープ。
 狼少年は夢中になってむさぼりつきました。
「これだから野生児は、がっついちゃって。みっともないから、お行儀よくしなさい」
 いって、隣の席につく少女。
 狼少年は言葉の意味も忘れてしまって、少女のパンを奪い取りました。
「わお、さすが狼少年ね。いいわ、パンくらい恵んであげる。
 あたしは豪商の娘だから、お父さまが迎えにくれば、
 いくらだって美味しいものが食べられるのよ」
 そうやって少女は少年に構い、少年は言葉を思い出していきました。

「あんたはひとりぼっちなのね。あたしがお姉ちゃんになってあげよっか?」
「おまえのほうが、おれよりちっちゃいだろ」
「ふん。あたしは小柄で華奢なだけで、あんたより年上のはずよ。
 それとも、妹にでもしたいのかしら?」
「妹に……」
 妹を飢えて死なせた狼少年にとって、恵まれた少女の振る舞いは、ときに我慢できない。
 狼少年は池の前で少女の背中を突き飛ばしました。
「なにするのよ! あたしの一張羅がびしょ濡れよ」
 服を脱いだ少女の腕には、夥しい火傷の痕。
 幾千の夜を越えても、孤児院に少女の家族が訪れることはなく。
 少女は実の両親に虐待され、預言者に庇護された、狼少女でした。

  ◆

「おまえたちは悪魔憑きだ」
 預言者は言いました。
「おまえたちの魂は悪魔に蝕まれていて、
 人に忌み嫌われる代わりに、人智を超えた悪魔の力を扱える。
 だから捨てられ、ゆえに生き延び、そして拾われた」
「預言者さまは、どうしてあたしたちを拾ったの?」
「おまえたちには利用価値があるからだ」
「わお、正直ね」
「悪魔王スレイマンを討滅すれば、おまえたちは悪魔の呪いから解き放たれる」
「興味ないわ。あたしは別に、こいつだけいれば……」
「悪魔憑き同士とて、忌み子の呪いからは逃れられない。
 憎しみを孕み、傷つけ合うことでしか
 傍にいられないおまえたちにとって、永遠の愛など絵空事だ」
「……あんたは、どう思うの?」
 妹を自分のせいで死なせてしまった狼少年にとって、
 少女を傷つけることは、ゆるやかな自殺と同じことでした。
「そう。分かったわ。一緒に悪魔王を、倒しましょう」

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