梅
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Spiritual Dialogue[1]
ユウレイ
『うらめしや』
「やあ、うらめしや」
『…………』
「いい天気だね」
『…………』

『挨拶じゃないですよ!』
「わあ、吃驚した」
『もっと早く驚いてください!』
トランスルーセント。
コナキムスメ
『おんぶしてェー』
「はいはい」
『重くないの?』
「重くないよ」
『…………』

『うわぁーん!』
「どうした!」
『あたしなんて妖怪失格なんだぁー!』
「泣くのとおぶさるので順番が逆というのだから驚きだね」
子泣き娘、子亡き娘。
リカちゃん電話
『もしもし、私リカちゃん!』
「わあ、有名人だ」
『いまあなたの家の前に居るの』
「残念、僕はいま旅に出ている」
『…………』
「おかけになった電話番号は、携帯電話だったね」
『…………』

『そんなこと知っているのよ?』

『ノートPCと携帯ゲーム機は頂いたの★』
「ハッ! 泥棒に入られた! しまった!」
ひとのものをとったら、どろぼう。
テルテルガッパ
「明日晴れるかな」
『明日は雨じゃ』
「それは困った」
『困るがいいよ』
「照る照る合羽」
『なんぞ?』
「ちょっと逆さ吊りになってくれる?」
『そんなん聞かれてYESと答える妖怪がいるかっ!』
「から傘お化けなんて、いつだって逆さ吊りじゃないか」

「まあ、明日は特に用とかないんだけどね」
『人を論破しておいてなんじゃそれ』
そなたの首をちょん切るぞ。
シタキリスズメ
『私の前で嘘を吐くと―――』

『舌を切られて死んじゃうよ?』
「それは恐ろしい」
『だから私は、饒舌に囀るの』
「憑き纏うタイプの妖怪なわけだ」

「これでしばらく退屈しないね」
『―――あれ?』
志田桐涼女。
クチサケオンナ
「マスクにバッテン」
『…………』
「寡黙キャラを演じたい年頃?」
『別に普通に喋れるぜ』
「これは驚き」
『……ハックシュン』

『花粉症超辛いなァー』
「ご愁傷様」
口避け女。
ネコマタ
「尻尾が二股になっている猫!」
『ほう。人間、吾輩の姿が―――』

「虐待されている猫だー!」

「病院に連れて行かなくちゃ!」
『いや、その、世知辛い世の中であるなあ』
耳の溶けた猫と片足の犬の舞踏会。
ネコマタ2
『吾輩は猫である』
「やあ、タマちゃん」
『勝手に名前を付けるでない!』
「それなら名前を教えてくれる?」
『…………』

『忘れてしまったよ』
「長生きしているんだね」
成仏条件、名を明かす。
クチサケオンナ2
「唇をつけないで公共広告機構って言える?」
『こーきょーこーこくきこー』
「マスクの下では普通に唇を使ったに違いない」
『ていうか別にカ行って唇使わねーじゃん』
早打ち言葉。
クチサケオンナ3
「マスクを取ったら美人という設定だったらどうしよう」
『それはいまのオレに対する冒涜か?』
「取ってみてよ」
『それは無理だ』
「口が裂けているから?」
『成仏してしまうから』

『人の眼鏡を勝手に外す奴は失礼だ』
「他の誰かが乗り移ったような台詞だね」
眼鏡を取った方がいい。
シタキリスズメ2
『大きなツヅラと小さなツヅラ』
「大きなツヅラをおくれ」
『……誰もあげるなんて言ってないもん』
「それは残念」

「でも、重そうだよ?」
『そんなに言うなら貸してあげるわ』
大きなツヅラの中身は、ご馳走。
テルテルガッパ2
「晴れているのに合羽を着込むのは、何故?」
『紫外線対策じゃ』
「妖怪なのに」
『そうは言うが、そもそも陽の光の下を歩ける妖怪の方が少なかろう』
「言われてみれば」
『故に妾は、上級妖怪なのじゃ』

『その霊能力は天気予報!』
「あまりにも愛くるしい霊能力だね」
蛇の目でお迎え。
リカちゃん電話2
『もしもし、私リカちゃん!』
「わあ、有名人だ」
『おまえの妹は頂いた』
「なんという誘拐犯!」
『返して欲しくば一億万円振り込みなさい』
「その前に妹の声を聞かせてくれ」
『…………』

『ああっ、お兄ちゃーん』
「嘘つきは舌を切られるぞ?」
鏡姉妹の飛ぶ教室。
コナキムスメ2
『抱っこしてェー』
「はいはい」
『いまだ! 体重三倍!』
「わあ重い。道端にぽいっ」
『はうっ!』

『うわぁーん! お兄ちゃんが捨てたぁー!』
「そこはちゃんとしがみつかないと」
体重変動能力者。
コナキムスメ3
『肩車してェー』
「はいはい」
『ん。思ったより高い……』
「あっ、目を塞がないで」
『ん? お兄ちゃん、困ってる?』
「前が見えなくて右往左往」
『きゃっきゃっ』

『うわぁーん! 能力使い忘れたぁー!』
「アメちゃんあげるから泣かないで」
肩車絞殺殺人事件。
ユキオンナ
「雪山で遭難してしまったよ」
『洞穴に颯爽と現れる雪女』
「やあ、うらめしや」
『うらめしや』
「なにかようかい?」
『…………』

『あまりの寒さにアイデンティティを失って成仏するところでした』
「えっ、君の特技は親父ギャグなのかい?」
せんせいこうげき!
ユキオンナ2
「取り出したるは携帯電話」
『画面に焼き付いた圏外の文字』
「諦めずにコールしても、意味はなく」
『電話に誰もデンワって奴ですね★』
「…………」

「電源が切れた……」
『大人しく待っていれば良かったのに』
きみのカケラ。
ユキオンナ3
「僕はもう眠いんだ」
『寝るなー、寝たら死ぬぞー』
「取り出したるは寝袋」
『布団が吹っ飛んだ!』
「布団が吹っ飛んだ!」

「寝袋が吹雪に吹き飛ばされた……」
『これが私の霊能力』
駄洒落を現実に変える能力。
ユキオンナ4 
「家に帰りたい―――」

「冬に富士山に登ったのが間違いだった」
『夏が懐かしいですか?』
「ああ、うん。夏が来て、ずっと夏だったらいいのに」

「長い眠りから醒めると、そこは夏の山だった!」
『さようなら、旅人さん』
雪女、季節の移り変わりにより成仏。
ザシキワラシ
「久々の我が家」
『おかえりなさぁい!』
「ただいま、六人の弟と五人の妹」
『お土産はー?』
「各種ダースで買ってきたよ」
『うわぁーい!』
「ひとりひとつずつだからなー」

「あれ? 自分の分がないな……」
『ひとりひとつしか取ってないよー?』
「おかしいな、座敷童女でも現れたかな?」
『なに言ってるの? お兄ちゃん』

『この世に妖怪なんているわけないじゃない』
「……え?」

「いやいや、君が座敷童女だなっ!」
『ご名答! ご馳走さま★』
兄妹姉弟の多い家はお兄ちゃんお姉ちゃんと呼び合わないという管理人の妄想。
(box2-1.html/2007-06-06)


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